土間といえば日本家屋のイメージですね。今でも数多く残る文学や映画のなかには土間がでてきますから、イメージでは沸いてくるけれども、実際に土間のあるお家に住んだ方を見たことのある人は少ないと思います。
さて、今回の施工主Sさんは「土間のある住居」を希望していました。「家に帰ったら、靴を脱がないでまず休みたい」そんな思いからだそうです。住む人にとって一番の休息の場であること、とっても大切なことです。

左の写真は土間ですが、テーブルや椅子が配置されています。まずここで一息ついて・・・。台所や居間とも空間が繋がっているので、家の中にいる他の家族とも会話することができます。
そして、この土間は外へも繋がっています。土間の開口部から緑が見え、時間の移り変わりを屋内にいても感じるのことができます。日の光や、月の光、天気の変化がよくわかりますね。

また、1階と2階とも繋がりを持たせるため、吹き抜けがあります。この吹き抜けの上には窓があり、ここからも光が入ってきます。
吹き抜けというと、冬に寒さを感じるといった心配があります。この点はWB(ウッドビルド)工法を採用することによって、少しの暖房で快適な生活を送ることができます。実際、一冬過ごしていただきましたが、寒さは気にならなかったそうです。
WB工法についての詳しい事は近々コラムを掲載したいと思っていますので、少しお待ちください。
庭も含めて、家のどこにいても繋がっている。つまり、家のどこにいても家族が繋がっているということです。 この土間は繋がりの中心となっています。
また、写真には写っていないのですが、台所の奥には家の中へ続くもうひとつの通路があります。同居のお母様の足を考慮しての緩やかな段差の階段です。スロープにしたほうが良いのでは?と思うところですが、私は、あえて多少の段差があった方が、足の悪化を抑えられると思いましたので階段という形になりました。

Sさんからの希望がもうひとつありました。それは、「小民家風な家」ということです。
古民家の特徴として真っ先に私が思い浮かべたのは、先にも述べた「土間」や「大きな柱」、「囲炉裏」でした。
上の吹き抜けの写真にも写っています大きな木の柱。天竜くりこまの燻煙杉を使っています。色も古民家を思わせる深みのある色で、今後住んでいく中でどんどんと良い色へ変化していくことでしょう。

左の写真には家族がくつろぐテーブルが写っています。テーブルの真ん中はあけることができ、囲炉裏として活用ができるようになっています。
この家具、Sさんが是非取り付けたいということで購入していた囲炉裏です。 お話をして私の方から囲炉裏の提案をする前に、ご購入されたものでした。
お互いに囲炉裏のイメージが話す前からリンクしていたのに、私はとても驚きました。
私は、施工主との最初のお話で意見を伺ったあと、まず手書きのプランを立ち上げます。左の図はSさんのお家のものです。左側が1階、右側が2階になります。
今回のSさんのお家は、「チルチンびと」2003年夏25号に紹介されています。工務店ウィズの藤江さん、施工主のSさん、私の話、すばらしい写真が載っておりますので、ご興味のある方は是非お手にとって見ていただけると幸いです。


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